地形分類とその土地の成り立ちについてまとめると、下記のようになります。
この地形分類は防災判読図のためのものであり、地形学などで使用される分類や名称とは異なる場合があります。
[山地・丘陵]
斜面 | 山地・丘陵の表面が崩壊などにより削られて急斜面が形成される。 |
地すべり | 山地や丘陵の一部が、円弧状の滑り面に沿って土塊として移動して形成された。 |
崩壊地 | 斜面の表層が崩落して、馬蹄形や直線的な急傾斜面が形成された。崖下には崩落した土石が堆積して、崖錐となっている場合もある。 |
急崖 | 地すべり、斜面崩壊など土塊の移動があった場合に、移動しなかった土塊の末端が急な崖となることがある。また、河川などの側方浸食により斜面の足下が崩落すると、それより上方の斜面も崩落し、急な崖となることがある。 |
沖積錐・崖錐 | 崩壊した斜面の下方が斜面上の凹地(谷)であった場合、谷口まで土砂が移動して円錐状に堆積し、沖積錐を形成する。 また、崩壊した斜面の下方が平坦地であった場合、斜面基部に崩落した土石が堆積して、緩傾斜の崖錐を形成する。 |
[変動地形]
断層線 | 断層の水平・垂直方向の活動によって直線的な裂け目が形成される |
断層崖 | 断層の垂直方向の活動によって直線的な崖が形成される |
撓曲崖 | 断層の垂直方向の活動によってゆるやかに曲がった斜面が形成される |
[火山地形]
火山山地斜面 | 火山活動により形成された山地斜面 |
火山性堆積地 | 火山活動により形成された山地斜面が、豪雨や地震などにより浸食・移動して再堆積して形成される。 |
[段丘(台地)]
段丘面 | 水位が高かった地質時代に、河川の側方浸食や土砂の堆積により平坦な土地が形成された。 |
段丘崖 | 平坦な土地が形成されたあとの地質時代に、水位(浸食基準面)が低下した場合、平坦な土地は河川により下刻され、急な崖が形成される。 |
浅い谷 | 平坦な土地の下刻が著しくない場合、平坦な土地の表面には浅い谷が形成される。 |
[低地-扇状地]
扇状地 | 谷の斜面から崩落した土砂や谷底に堆積していた土砂が、豪雨により土石流として下流に運ばれ、谷口に堆積して扇状(傾斜の緩い半円錐状)の地形が形成される。 |
浅い谷 | 扇状地は透水性のよい土砂で構成されるので、地表の流水は少なく、地下に浸透する。 地下に浸透しきれないような急激な水流が発生した場合に、地表の流水の通過経路となる浅い谷が形成される。 |
[低地-蛇行源]
自然堤防 | 河川の氾濫が起こった場合、河川沿いに堆積した土石(礫・砂など粗粒)により、微高地が形成される。 |
後背低地 | 河川の氾濫が起こった場合、河川から離れた場所まで流された土石(砂・粘土など細粒)により、低平な土地が形成される。 |
旧河道 | 河道の変化により、河川の水流が流れなくなった河道跡。洪水時に河川の水が流れ込むことがある。 |
谷底低地・おぼれ谷 | 谷底に河川堆積物や斜面から崩落した土砂が、下流に流されずに堆積して形成される。 本谷の谷底堆積物に堰き止められて支谷に谷底堆積物が堆積する場合、粘土分など細粒分が多い湿地となり、軟弱な地盤となる。 |
河川敷 | 平時や高水時に河川の水流が通過する流路 |
河川(堤防あり) | 河川の氾濫を防止するために人工堤を設置 |
河川(堤防なし) | 人工堤がない |
河川(天井川) | 河床が周囲の地盤より高くなっている |
[低地-三角州]
三角州 | 河川が蛇行源を過ぎて海岸近くに細粒分を堆積させ、低平な土地を形成する。 |
砂州・砂丘 | 海の沿岸流や風などにより砂が運ばれ、堆積して小高い丘を形成する |
海成浸食低地 | 海の浸食により海岸沿いに低平な土地が形成される。 |
[人工地形]
切土 | 山地などを人工的に切り取り、造成されて形成される。 |
盛土 | 山地の谷などに人工的に土を盛り、造成されて形成される。 |
特記事項
遷急線 | 斜面上方に比べて下方が急傾斜となる境界線 |
遷緩線 | 斜面上方に比べて下方が緩傾斜となる境界線 |
リニアメント | 活断層などの存在に起因する直線的な地形 |
攻撃斜面 | 河川の屈曲の外側に面する浸食斜面 |