この場所は、河川が氾濫して起きた流水により、パトカーが流されたということで記憶されている方もいるかも知れません。

国土地理院「地理院地図」より
地形図で見ると、あまり大きくはない川「新田川」が流れていますが、その南側に紡錘形の範囲に水田が広がっています。なんだか、「飛地」という注記が目立ちます。
地形がわかりやすいよう、標高を1m間隔で色分け表示しました。

国土地理院 地理院地図「自分で作る色別標高図」で作成
白丸が新田川が氾濫した箇所で、赤丸がパトカーが流された箇所です。
白丸は、新田川が西方向から北方向へ流路を右に曲げるところで、カーブの外側に向かって水が堤防を超えたと思われます。
白丸から赤丸に向かって洪水が一直線に流れるような地形になっており、赤丸では東から西に向かって高速度で水が流れていたことが考えられます。
パトカーが通行していた道路は、その南西端の交差点付近と北東端の交差点(福田山橋)付近は標高が赤色(54m以上)で表現されており、赤丸付近は標高が青色(49m未満)になっており、道路の縦断形は両端が高く真ん中が低い谷形になっていることが分かります。パトカーが流されたのは、その谷形の最も低いところで、激しい水流が起きていたと考えられます。

国土地理院 地理院地図 浸水推定図 最上川水系最上川(令和6年7月26日14時作成) より
なお、この付近の行政界(上図の右側、「大坪」付近)を見ると複雑に入り組んでおり、飛地が発生しています。これは、川の流れの変化に沿って境界線が何度も変更された結果のように見えます。この行政界の複雑さは、新田川がこれまで何度も氾濫して、激しく流路を変えてきたことを表していると考えます。
ちなみに、上図の左半分に青色で着色された範囲は、今回の豪雨で最上川沿いに発生した浸水の範囲を示しています。上図の右半分の新田川沿いにはあまり着色されていませんが、長時間の浸水はなかったものの、一時的な激しい水流があったと考えられます。